審査の甘いおまとめローンはある?通過基準や申込時のコツも解説
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ファイナンシャルプランナー
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。現在は、FPとして各種相談業務やセミナー講師として活躍する一方、多数の執筆活動も行っている。海外移住に関する相談にも対応しており、特にカナダや韓国への移住や金融・保険情報に関して多数の相談を受けている実績がある。
ファイナンシャルプランナー
慶応義塾大学卒業後、大手金融機関にて、営業・企画・総務・クレジット業務などを経験。また、自身のライフプランを見直して1億円資産の捻出方法を確立。現在、執筆、監修、セミナー・研修講師などで、金融商品、ライフプラン、資産運用の観点からアドバイスを行っている。著書「50代から老後の2000万円を貯める方法」がある。
この記事の目次
審査の甘いおまとめローンは存在しない
結論から申し上げますと、申し込めば誰でも利用できるような審査の甘いおまとめローンはありません。
仮に、金融機関が審査を甘く行ったとしましょう。
すると、返済能力が基準に満たない人へ融資するような事態が発生し、最悪の場合、返済困難な状況に陥ってしまう可能性も出てきます。
金融機関側が貸し倒れてしまうリスクも大きくなってしまうため、銀行や消費者金融に関わらず、すべての金融機関が厳正な審査を行っていると考えておきましょう。
高額な借入になるローンほど慎重に審査される
ちなみに、借入金が高額になりやすいローンほど、より慎重に審査されていることが推測されます。
高額融資を伴うローンは金融機関側の貸し倒れによる損失が大きく、例えばおまとめローンの場合、複数の借金を1本化するので金額が100万円単位になることもあります。
- A社50万円・B社30万円・C社20万円
- D社100万円
借入条件等によって個人差はありますが、少額な借入にも利用できるカードローンやクレジットカードのキャッシングサービス等と比べると、おまとめローンは残念ながら「審査は厳しい傾向にある」と考えていいでしょう。
金利を基準に審査の甘さを予測するのも選択肢のひとつ
おまとめローンの審査難易度を判断する際、金利を基準に予測する方法もあるようです。
金利を低く設定するほど、金融機関側の利益率は下がります。
万が一、利益率の低いおまとめローンで貸し倒れるようなことになったら、金融機関側は債権回収が困難になるでしょう。
上記のような背景を踏まえると、確かに金利が低いローンほど慎重に審査されると予測できます。一概に金利が高ければ審査が甘いという訳ではありませんが、指標のひとつにはなるかもしれませんね。
「実際に金利で比較してみたい」と考える方もいらっしゃると思いますので、代表的なおまとめローンの一覧を掲載しておきます。
金融機関名 | 商品名 | 金利 |
---|---|---|
キャネット | おまとめローン | 年12.0%~年20.0% |
ジャパンネット銀行 | 借り入れおまとめローン(新規受付終了) | 年15.0%~年18.0% |
新生パーソナルローン株式会社 | おまとめローン | 年10.5%~年18.0% |
ライフティ | 貸金業法に基づくおまとめローン | 年8.0%~年18.0% |
アコム | 借換え専用ローン | 年7.7%~年18.0% |
サンワフィナンシャル株式会社 | 貸金業法に基づくおまとめローン | 年6.8%~年18.0% |
いつも(itsumo) | 貸金業法に基づくおまとめローン | 年4.8%~年18.0% |
プロミス | おまとめローン | 年6.3%~年17.8% |
アイフル | おまとめMAX | 年3.0%~年17.5% |
西日本シティ銀行 | NCB おまとめローン(無担保型) | 年4.5%~年15.0% |
千葉興業銀行 | 〈ちば興銀〉おまとめフリーローン | 年3.9%~年14.9% |
第三銀行 | 「おまとめ上手」 | 年9.8%~年14.8% |
福邦銀行 | おまとめフリーローン | 年3.8%~年14.8% |
筑波銀行 | 〈つくば〉おまとめフリーローン | 年6.8%~年14.6% |
栃木銀行 | とちぎんおまとめローンスッキリ | 年6.8%~年14.6% |
第四銀行 | おまとめローン | 年6.8%~年14.5% |
中国銀行 | おまとめフリーローン | 年6.8%~年14.5% |
みちのく銀行 | おまとめローン「らくらく応援隊」 | 年6.5%~年14.5% |
愛媛銀行 | ひめぎんおまとめローン | 年5.8%~年14.5% |
高知銀行 | こうぎんセレクトローン ZEYO | 年4.5%~年14.5% |
静岡中央銀行 | しずちゅう おまとめローン | 年4.0%~年14.5% |
豊和銀行 | おまとめフリーローン「ほうわスーパーベスト」 | 年3.8%~年14.5% |
宮崎太陽銀行 | フリーローン「おまとめZ」 | 年3.8%~年14.5% |
オリックス銀行 | VIPフリーローン(貸金業法に基づくおまとめローン) | 年3.0%~年14.5% |
もみじ銀行 | おまとめ!もみじ君 | 年4.8%~年14.3% |
北九州銀行 | おまとめ!きたきゅう君 | 年4.8%~年14.3% |
紀陽銀行 | おまとめローンプラス | 年6.5%~年14.0% |
北洋銀行 | 北洋フリー&おまとめローン | 年6.0%~年14.0% |
福岡銀行 | ナイスカバー | 年5.9%~年14.0% |
宮崎銀行 | おまとめローン「みやぎん おまとめ1」 | 年4.5%~年14.0% |
大垣共立銀行 | 借換えローン「マネーレスキュー」 | 年4.0%~年14.0% |
トマト銀行 | トマト・借換え専用フリーローン「ひとまとめ」 | 年4.8%~年13.8% |
中央リテール | おまとめローン | 年10.95%~13.0% |
北日本銀行 | おまとめローン「スーパーおみがるくんNEO」 | 年13.0% |
親和銀行 | ナイスカバー | 年5.8%~年12.8% |
熊本銀行 | ナイスカバー | 年5.8%~年12.8% |
東京スター銀行 | おまとめローン(スターワン乗り換えローン) | 年12.5% |
長崎銀行 | 目的おまとめローン「まとむ~で」 | 年4.0% |
※金利は2020年7月時点の数値です
※おまとめ目的のローンのみ掲載しております
(おまとめとしても利用できるカードローン・フリーローンは除外)
おまとめローンの審査基準について
おまとめローンの審査がどのような基準で行われているのか、気になる人も多いのではないでしょうか?
確かに、審査基準が分かれば事前に通過できるかどうか判断しやすくなりますが、残念ながら金融機関側から公表されることはありません。
とはいえ、おまとめローンの利用条件や申し込みフォームの項目などから、審査基準をある程度予測することはできます。
安定した収入が必要不可欠
審査基準として考えられるのは、申込者に安定した収入があるかどうかです。
複数の借金をおまとめするにしても、お金を借りる行為には変わりないので、きちんと完済するのは借り手の義務です。
基本的には月々少額ずつ返済していくことになるので、毎月無理なく支払っていけるだけの一定収入がなければいけません。
したがって、「定期的な収入があるのか」は審査で重要視されるポイントとなります。
勤務先や勤続年数も重要なポイント
収入面だけでなく、あなたの勤務形態も詳細に審査されています。
一般的には、正社員・公務員・契約社員・アルバイト・パートなどの雇用形態に注目しがちですが、勤務形態に関する基準はそれだけではありません。
実は、現在お勤めの職場でどれくらい働いているのかも重要なポイントです。
例えば、入社して1年にも満たない人より、新卒から10数年以上働いている人の方が離職する可能性も低く、収入も安定していると判断されやすい傾向にあります。
家族構成もチェックされている
申込時に何気なく記載している家族構成も、返済に対する意識をチェックするための大切な審査基準です。
例えば、配偶者がいて子供を育てながら日常生活を送っている方は、家庭のためにしっかり働いているので、滞りなく返済してくれると判断される可能性があります。
もちろん、独身の方が一方的に不利という訳ではありません。金融機関によっては、独身の方は比較的お金に余裕があると判断される場合もあるでしょう。
あくまでも審査基準としての話なので、どちらかを優越する項目ではないので安心してください。
お住まいの住居形態も判断材料になる
意外と知られていませんが、住居形態も審査の判断材料となっています。
マイホームを購入している人もいたり、賃貸マンションに住んでいたり、実家暮らしというケースもあるでしょう。
こういった住居形態によって、毎月発生する固定費に差が出ます。
例えば、実家で両親と暮らしている人は家賃がかからないので、その分お金に余裕があると判断されやすくなるでしょう。
審査に不安を抱えている人は事前対策
審査の甘いおまとめローンをお探しの方は、審査に対して何らかの不安を抱えているものです。
そんな方は、おまとめローンに申し込む前に出来る限りの対策を打っておきましょう。
必ず審査を通過できる訳ではありませんが、不安な人はぜひ実践してください。
対策1:借入先のおまとめローンを検討する
複数社から借入されていると思いますが、その中におまとめローンを取り扱っている金融機関はありますか?
もし、いずれかの借入先がおまとめローンを取り扱っている場合は、そちらを検討してみましょう。利用実績が全くない他社で新規契約するより、一定取引実績があるので信用度が違ってきます。
契約中の金融機関も、「他社でおまとめされるくらいなら自社で」と考えるものです。
対策2:信用金庫のおまとめローンを検討する
一般的な銀行や消費者金融などの金融機関は、営利目的で貸付けを行っています。
対して、各地域にある信用金庫は「非営利活動法人」なので、営業地域にお住まいの方に特化した融資サービスが特徴的です。
全国に255店舗(2020年7月時点)あり、一部の信用金庫ではおまとめ目的のローンを取り扱っています。
実際にどれくらいあるのか調べてみました。
金融機関名 | 商品名 | 金利 |
---|---|---|
甲府信用金庫 | 甲しんおまとめローン | 年9.8%~年13.8% |
松本信用金庫 | おまとめローンワイド | 年7.5%~年13.5% |
飯田信用金庫 | おまとめローン「まとめ隊」 | 年9.8%~年14.5% |
のと共栄信用金庫 | おまとめローン | 年7.5%~年13.5% |
大阪信用金庫 | おまとめ ONE'S LOAN | 年9.8%~年13.8% |
但陽信用金庫 | 《たんよう》おまとめローン | 年5.05%~年10.05% |
しまね信用金庫 | おまとめローン「助っ人くん」 | 年14.5% |
日本海信用金庫 | おまとめローンビッグサポート | 年14.0%~年14.5% |
島根中央信用金庫 | まとめローン「おまとめサポーター」 | 年14.6% |
しまなみ信用金庫 | おまとめローン「一本勝ち」 | 年15.0% |
阿南信用金庫 | おまとめ専用ローン「リスタート」 | 年5.0%~年14.0% |
鹿児島相互信用金庫 | そうしんおまとめローンⅠ | 年12.8% |
おまとめ目的のローンを取り扱っている信用金庫は、上記12つのみ。他はフリーローンでおまとめを行っているようです。
お住まいの地域に対象の信用金庫があれば、一度そちらを検討してみてはいかがでしょうか?
対策3:できる限り借入先を減らしておく
可能であれば、申し込み前に借入先を1社でも減らしておきましょう。
おまとめローンは複数ある借金を一本化するのが目的なので、原則として借入件数に上限はありません。借入先が2~3社程度であれば、特に問題はないでしょう。
しかし、あまりにも借入件数が多い場合は審査に影響が出る可能性があります。例えば、借入件数が5社を超えているような場合です。
正確な基準は分かりませんが、借入先が一般的な件数以上だと感じた方は、過度な借入を行っていると判断されないよう、対策しておくのをおすすめします。
おまとめローンで審査落ちする3つの原因
おまとめローンの審査について解説していきましたが、「申し込んでも中々利用することが出来ない」という訳ではありません。
所定の審査を問題なく通過し、複数の借金をおまとめされた方がいるのも事実です。
では、おまとめローンの審査を通過できなかった人にはどのような原因があったのか考えてみましょう。
原因1:虚偽の申し込みをした
1つ目は、どうしてもおまとめローンを利用したいからと言って、嘘の申込情報を提出した場合です。
具体例
- 年収100万円だが、200万円と申告した
- 勤続年数はまだ半年だけど、1年と記載した
イメージしやすいように誇張した例を記載しましたが、上記のような虚偽の申し込みを行うと、金融機関からの信用を損なってしまいます。
仮に嘘をついても審査で100%バレるため、絶対にやめましょう。
原因2:複数社に同時申し込み
2つ目は、複数社のおまとめローンへ同時に申し込んだ場合です。
具体例
- 5~6社ほど申し込んでおけば、どれかは審査に通るだろう
- 銀行、消費者金融など、できるだけたくさん申し込んでおこう
意外と知られていませんが、このような行為は「申し込みブラック」として扱われ、現状金銭的にかなり困っている印象を与えてしまいます。
正確な件数は公表されていませんが、1ヶ月以内に複数社へ申し込むのは避けましょう。
原因3:信用情報に問題がある
3つ目は、信用情報に何らかの問題があった場合です。
信用情報には、あなたがこれまで行ってきた金融取引情報が記録されており、借金の返済に限らず、クレジットカード代金や携帯料金などの支払いも対象となります。
仮に何らかの金融トラブルを起こしてしまった場合、信用情報に5~10年間記録が残る仕組みです。
金融トラブル例
- クレジットカードの支払いを2~3ヶ月以上滞納した
- どうしても借金が払えず、債務整理を行った
上記はほんの一例ですが、このような金融トラブルが信用情報に記録されている方は、どんなローン審査も通過できません。
直近で心当たりのある方は、おまとめローンの申し込みを見送った方が良いでしょう。
金融機関が「返済能力がない」と判断したら審査落ちになる
おまとめローンの審査では、返済能力の有無が鍵です。ただ、いくら返済できるからといっても、借入先が多いのはよくありません。おまとめ前に、借入先を減らしておきましょう。虚偽申告、信用情報に問題があるのもNG。おまとめは高額になるため、審査もシビアです。すでに取引のある会社でまとめる方が審査は通りやすくなりますよ。
おまとめローンの審査に関するQ&A
最後に、おまとめローンの審査について疑問や不安に感じやすい要素をQ&A形式で紹介しておきます。
気になる項目があれば、ぜひ参考にしてください。
Q.おまとめ額が総量規制を超える場合は?
A.総量規制の対象外となるので問題ありません
総量規制とは、過度な借入を未然に防ぐため、年収の1/3を超える個人貸付を制限するルールです。
しかし、おまとめローンは「顧客に一方的有利となる借換え」となるため、総量規制の「例外貸付け」に該当します。
要約すると、おまとめローンは借金を一本化して完済を目指すためのサービスなので、総量規制の対象外になりますよ、ということです。
Q.大手企業の審査を通過できなかった人は?
A.中小規模の金融機関を検討してみましょう
大手企業の取り扱うおまとめローンが利用できなかったとしても、中小規模の金融機関であれば審査を通過できるかもしれません。
金融機関ごとにおまとめローンの審査基準は異なるので、「A社では審査落ちしたものの、B社の審査は通過できた」といったケースもあります。
ただし、中小規模の金融機関では、営業地域にお住まいの方が融資対象となるケースがほとんどです。大手企業のように全国どこにいても申し込める訳ではありません。
まずは居住地域に中小規模の金融機関があるかどうか確認し、おまとめローンを取り扱っていれば再検討してみましょう。
Q.信用情報がブラックでもおまとめできますか?
A.状況次第でおまとめ専用の中小消費者金融を検討
原則として、信用情報に問題のある人はおまとめローンを利用できませんが、中小規模の消費者金融であれば、状況によっては融資を検討してくれる可能性があります。
具体例
- 一度長期滞納したが、現在はきちんと返済しながら生活している
- 過去に債務整理を行った経歴があるものの、すでに数年経過している
検討先はかなり限られてしまいますが、上記のような方は「中央リテール」等のおまとめローン専門の中小消費者金融と交渉してみるといいかもしれません。
まとめ
審査の甘いおまとめローンはあるのか解説しました。
今回の記事を総括すると、審査の甘いおまとめローンはありません。
おまとめローンはどのような基準で審査されているのか、なぜ審査落ちしてしまうのかを理解し、申し込み前にできる対策を打っておきましょう。
審査の甘いローンは存在しない
誰でも融資可、審査は甘いなど、耳ざわりの良い言葉は気になってしまいますよね。とはいえ、そのような会社はありません。今回は、審査に落ちてしまうのはどのようなケースなのか、紹介しています。今後、何を心がけて行けばよいのか、お分かり頂けたと思います。この記事を参考にしながら、ローンと上手に向き合って下さい。
審査が甘いおまとめローンはありません
おまとめローンは、複数あるローンを一社にまとめ、返済の負担を減らすローンです。審査が甘いおまとめローンは存在しません。金額も高くなりますので、金融機関は、貸し倒れを避けるために審査を厳しく実施しているからです。また、銀行のカードローンは、金利が低く設定されているため、審査が厳しくなる傾向があります。消費者金融会社のおまとめ専用カードローンの場合は、比較的審査が通りやすくなりますが、決して「審査が甘い」というわけではありません。まずは、現在利用している金融機関に相談してみましょう。
ファイナンシャルプランナー|飯田道子
ローンの審査基準は金融機関ごと、商品ごとに異なる
いずれの金融機関、商品においても共通しているのが安定した収入があるのか?ということ。その他には、勤務先や雇用形態、住居形態や家族構成などを総合して審査していきます。ただし、これらの要素は、商品ごと、金融機関ごとに重要視する項目は違っています。つまりA社の審査では不可でも、B社の審査は通ることがあります。