総量規制と銀行カードローンの関係についてわかりやすく解説
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ファイナンシャルプランナー
北海道出身 国立大学法人 小樽商科大学 商学部卒。夫、双子の娘、義理の母の5人家族。大学卒業後、10年間食品メーカー勤務。夫の転勤を期に退職し、北海道から東京へ。40歳で双子を出産。双子の教育費の不安を解消すべく、お金の勉強をする。都市銀行の運用相談部門勤務後、地域の家族のお金のアドバイザーとして「FPオフィスライフ&キャリアデザイン」を開所。
行政書士
大学卒業後、某大手損保会社のサービスセンターに8年間勤務、在職中に行政書士の資格を取得。損害保険金の支払い調査などの業務を担当。その後、地元の不動産会社に転職。在職中に宅地建物取引士の資格を取得。賃貸物件の仲介、家賃管理、リフォーム工事などを担当し10年間勤務する。昨年8月に退職し、現在は行政書士として前職の経験を活かし、相続や債務整理における不動産の任売や競売物件の相談、各種保険の加入や住宅ローンの借入時のアドバイスなど多岐にわたる業務を取り扱う。
この記事の目次
総量規制=貸金業者から借りることのできる金額の上限を定める規制
そもそも「総量規制」とはどういったものなのかを初めに確認しておきましょう。
総量規制とは、「貸金業者から借りることのできる金額の上限を借り入れをする人の年収の3分の1までにする」と定めた法律のことです。
例えば、年収300万円の人の場合、借りることのできるお金の上限は100万円ということになります。
総量規制は多重債務者を救出することを主な目的として導入されました。
総量規制により多重債務者の増加が抑制できる
総量規制によって私たち利用者は、貸金業者から年収の3分の1までしかお金を借りることができません。これは1社のみに留まらず、2社目、3社目の借り入れの際にもこれまで借りた金額の合計が3分の1を超えないかを確認されます。
ですので、1社で借りてはその返済のためにまた別の会社で借りるといった多重債務の状態を作り出させないようにする効果があるのです。
ちなみに総量規制の年収の3分の1という割合は、借りたお金の返済をしながら最低限生活しているように考慮された数値となっています。
利息制限法と出資法の上限金利の間にあたるグレーゾーン金利
多重債務者を生み出す原因の1つにグレーゾーン金利というものがあります。
グレーゾーン金利とは、利息制限法と出資法の上限金利の間にあたる金利のこといいます。
利息制限法に定められている金利の上限は20%で、出資法で定められている金利の上限が29.2%でした。
出資法の上限である 29.2%を超えなければ刑事罰を与えられることがなかったので、利息制限法の上限20%から出資法の上限である29.2%の間の金利を付けている貸金業者は多かったのです。
この金利のゾーンのことを、グレーゾーン金利といいます。
貸金業者はこのグレーゾーン金利を利用して高い収益を得ていたのです。
グレーゾーン金利の弊害とは?
高い利息を支払うことは、貸金業者にとっては利益が大きくなるためメリットが大きいですが、お金を借りる側にとっては大きな負担となってしまいます。
高金利によって多くの多重債務者を生んでしまいました。
自己破産をする人や5社以上の貸金業者から借金する人が増え、政府はこの状況に危機感を覚えました。
多重債務者を減らすために貸金業法を改正した
多重債務者を減らすため、政府は貸金業の改正を2006年12月に行いました。
2006年に行われた貸金業法の改正のメインは、総量規制の導入とグレーゾーン金利の撤廃でした。
総量規制の導入とグレーゾーン金利を廃止したおかげで下記のような大きな効果を生みました。
・5社以上の貸金業者から多重債務している者は100万人以上減少
・個人の自己破産件数はピークの 2003年に比べてほぼ半減
・多重債務が原因の自殺者も2/3に減少(2007年~2011年)
総量規制の対象になるローンは3つある
総量規制の対象となるのは以下の3つのローンです。
総量規制の対象になるローン |
- 1.消費者金融系ローン
- 2.クレジットカード会社のローン
- 3.信販会社
銀行や信用金庫などは貸金業者には該当しないので総量規制の対象にはなりません。
住宅ローンやマイカーローンなどは総量規制の対象外になります。
また、法人や個人事業主宛のローンも総量規制の対象外になります。
総量規制の対象にならない銀行カードローンがもたらした社会問題
総量規制の対象外となった銀行カードローンは一時社会問題となりました。というのも、銀行カードローンを使えば、貸金業者では規制されている年収の3分の1以上のお金を借りることができてしまうからです。
銀行カードローンが総量規制の対象にならない理由は、銀行に対して適用されている法律は貸金業法ではなく銀行法であるためです。
銀行カードローンが社会問題になった理由
銀行は収益を稼ぐために、企業向けの融資や住宅ローンよりも高い金利の獲れるカードローンの営業に力を入れるようになりました。
|
- ・総量規制の対象外
- ・即日利用できる
- ・貸金業者と比較して金利が安い
銀行がこれらを大々的にアピールしたことで、総量規制に引っ掛かってしまう顧客や手軽にお金を借りることができる利便性が評価され、銀行カードローンの利用顧客は年々増加していきました。
利用者から見る銀行カードローン
利用者からみた銀行カードローンは、なんといっても安心感があると思います。
銀行からお金を借りることが出来れば金利が安いイメージもありますし、「返済できない無茶な金額を貸してくることはないだろう」と考え、適正な金額を貸してくれると信頼しきってしまっている利用者が多いと考えられます。
銀行からみた銀行カードローン
各銀行は、住宅ローンや企業への貸付金利は近年低金利となってるため、金利が高く収益性の高いカードローンに注力し積極的に展開していました。
銀行カードローンは収益性の高い商品であるため、積極的に顧客に案内していました。
銀行カードローンは自主規制の流れ
多くの人が銀行カードローンを利用するようになり、残高も増えていきました。
金融庁はこの状況に危機感を覚え、銀行カードローンの推進を落ち着けるよう銀行業界に指示をしました。
銀行は、金融庁からの指導を受けて、審査の基準を厳しくするなどの規制を強めるようになりました。
銀行カードローンのメリットは2つ
銀行系カードローンのメリットは、普段ご利用の銀行で借入ができることや、傾向として低金利であるということです。
低金利であるため、長い期間利用を考えているのであれば、金利を抑えて利用するのが良いでしょう。また使い慣れた銀行を使うことで、安心感もあります。
金利が消費者金融より低いことが多い
ローンを利用するうえで、適用される金利が何%になるかは非常に重要です。
なぜなら適用される金利が低いほど、返済時の負担が少なくなるからです。
借入金額 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 20% |
100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
個人向けローンの上限金利は、貸付金額に応じて決まっています。
消費者金融やクレジットカードのキャッシングの場合は、上限金利まで取ることが多いですが、銀行カードローンでは消費者金融やクレジットカードのキャッシングに比べて金利が低いことが一般的です。
普段利用している銀行で借入ができる
普段利用している銀行で、借入ができるので非常に便利です。
消費者金融の場合、周りからお金を借りているのではと思われないか不安になる方もいます。しかし、銀行であれば、貯金から引き出してるようにしか見られないので安心です。
銀行系カードローンのなかには、普段お使いのキャッシュカードでそのまま借入ができる場合もあります。
借入専用のカードが新たに発行する必要がないので、お財布もかさばらず、カードを見られてもバレる可能性は低いです。
銀行カードローンのデメリットは2つ
銀行系カードローンは審査の関係上、融資を受けるまでに時間がかかってしまいます。長い場合だと2週間も待たされることもあるのです。
審査については、銀行だけではなく、保証会社も行います。このようなフローになっているため、スムーズに審査に通過するということはないのです。
即日融資が出来ない
銀行カードローンは、即日で融資を受けることができません。
2018年以前は、銀行でも消費者金融やクレジットカードのキャッシングのように申込から融資まで即日で完結させることができました。
しかし、2018年1月にすべての銀行に警察庁データベースへの情報照会の義務付けがスタートしています。
警察庁への情報照会は反社会勢力への資金供与を防ぐことを目的としています。
この警察庁への情報照会の回答が最短で翌営業日以降になってしまうため、銀行の即日融資は不可能になりました。
返済する見込みはあるが、即日にお金が必要になることは意外とあると思いますが、銀行カードローンでは融資を受けることができないので注意が必要です。
審査が消費者金融よりも厳しいことが多い
一般論ではあるものの、消費者金融やクレジットカードのキャッシング枠と比べると、銀行カードローンは金利が低いので、消費者金融やクレジットカードのキャッシング粋よりも審査が厳しくなるのは当然のこととして考えられています。
なぜなら高い金利をとっていれば万が一、顧客が返済不能になっても貸し倒れによる損失の影響を小さくすることができるからです。
また、過剰な銀行カードローンの利用増加を受けた金融庁の指導も、銀行の審査が厳しい理由の1つになっています。
融資までの速さを重視するなら消費者金融
銀行カードローンは近年の貸付残高の急増により、適切な融資が行われていないのではとの指摘があり、金融庁が銀行カードローン実態調査を実施しました。引き続き適切な業務運営がされているかモニタリングを行うことから、融資審査が厳格化しており即日での貸し出しは現在行われていません。
銀行カードローンには自主規制があるので注意
「銀行カードローンは総量規制に当てはまらないのであれば、いくらでも借りられるのか」と感じる人もいるかもしれませんが、それは不可能です。
銀行カードローンには、個人の年収に応じた融資金額の上限が設けられています。銀行によっても異なるのですが、多くは年収の3分の1もしくは年収の2分の1までとしているのです。
近年銀行カードローンでの融資は厳格化している
2018年頃から銀行カードローンの審査は厳格化しているのは、世間より銀行は個人に対してお金を貸しすぎている指摘されたためです。
銀行からお金を借りすぎて、自己破産をする人が増えたため、問題視されました。この社会問題を受けて、銀行は審査を厳格化しています。
お金を融資しすぎていないか、また、一定の条件になると申込者に対して、収入証明書を求めます。このように融資をするにあたり、審査をより慎重に行うようになりました。
銀行系カードローンにしろ、消費者金融にしろ借りられる金額が多いと、審査に落ちることがあることに変わりありません。
今すぐ手元に現金を用意したい人の対処法
銀行カードローンは審査に時間がかかるため、急ぎでお金を用意したい場合に不向きと言えます。
場合によっては、2週間程度かかってしまうこともあるのです。それは明確な所要日数があるわけではなく、人によって異なるため、実際に申し込みをしてみないと分からないのです。
急ぎでお金を借りたい場合は大手の消費者金融に注目
大手消費者金融のカードローンは即日融資に対応しており、手続きもスムーズに完了します。審査は最短30分で、申し込みをしたその日にお金を借りることができます。
すぐにお金を借りることができるので、金欠を今すぐにでも解消したいという人に人気のカードローンとなっております。
手続きに関してはインターネットだけで完結することも可能です。もちろん振り込みにも対応しており、24時間対応している銀行を利用することで、すぐに振り込んでもらえます。
具体的には以下の大手のカードローンをご検討ください。
プロミス
プロミスはSMBCグループが運営しているカードローン会社です。
申込から審査まで最短3分※で行ってくれますので、急いでいる人には最適なカードローンです。
また他の消費者金融と比べて最大金利が低いのも特徴。少しでも利息を抑えられるという点もおすすめできる理由です。
※お申込み時間や審査によりご希望に添えない場合がございます。
アコム
アコムは三菱UFJフィナンシャル・グループが運営する消費者金融です。
利用者は業界最多であり、即日融資や無利息期間など基本的なサービスはすべて備わっていますので、安心して利用できるカードローンサービスでしょう。
利用可能かどうかが瞬時にわかる「3秒診断」も簡単に受けれますので、気になる方はとりあえず診断を受けてみるのもいいでしょう。
まとめ
総量規制は「年収の3分の1までしか個人に対して融資ができない」というルールで、貸金業法に基づいた制度です。
消費者金融や信販会社はこの貸金業法に則って、営業をしなくてはなりません。銀行はこの貸金業法にあてはまらないので、総量規制についてもあてはまりません。
しかし、銀行も自主規制というかたちで、個人への融資額に上限を設けています。そのため、銀行だからいくらでも借りられるということはないのです。
銀行カードローンは、普段ご利用の銀行からお金を借りられますが、手続きそのものには時間がかかるため、直近でお金を借りたいという急ぎの人には向かない可能性があるのでご注意ください。
お金は余裕をもって準備しておきましょう
緊急にお金が必要となり至急の借り入れを検討する時は、どうしても慌ててしまうものです。審査時間が比較的短い金融機関を利用することで急場はしのげます。今後の不安を減らすには予期せぬ資金需要への準備が大切です。支出を見直し、給料から毎月こつこつ預金することをめざしましょう。
法律の制限と返済能力はどちらも重要
銀行カードローンは総量規制の対象ではないので、利用者の返済能力を超えた資金を貸付したとしても、法律違反にはなりません。しかし、銀行は利用者の返済能力に注視し、50万円超の借入を希望する場合は収入証明書の提出を求めるなどの対策を講じているところもあります。これから銀行カードローンのご利用を考えている方は事前に必要書類と余裕を持った期間をしっかり準備しましょう。
ファイナンシャルプランナー|山内真由美
カードローンの過剰な貸付は社会問題となっている
一般社団法人全国銀行協会は2017年に「銀行による消費者向け貸付に係る申し合わせ」を公表しました。健全な消費者金融市場の形成に向けた審査体制の整備を行い、収入状況や返済能力をより正確に把握するよう努め、貸金業法の総量規制の趣旨を踏まえた極度設定をする自主的な取り組みを発表しました。